2025年7月26日の「人生の楽園」では、廃棄されるパレット(物流用の木製荷役台)の板を使い、アップサイクル家具を作っている宮尾隆弘さんと妻の陽子さんが主人公です。和歌山県有田川町に、廃材のパレットから唯一無二の家具を生み出す工房があります。心臓の病をきっかけに人生を見つめ直した宮尾隆弘さんが立ち上げた「SIL(Smile Is Life)」は、アップサイクル家具という新たな価値を創造しながら、地域に温かなストーリを届けています。本記事では、家具工房「SIL」が紡ぐ再生の物語と「SIL」とめぐる地域の物語、アクセス情報等を丁寧にご紹介します。
廃材に命を吹き込む家具工房「SIL」
廃棄パレットとの出会いが人生を変えた
有田川町出身の宮尾隆弘さんは、障碍者福祉施設でヘルパーとして働いていました。仕事に打ち込む日々の中、36歳で心臓発作を起こし「異型狭心症」と診断されます。病気の原因は過度なストレスーーそれは働き方だけでなく生き方への問いを投げかけました。
ある日、市場で山積みされていた廃棄予定の物流パレットを見た隆弘さんは、それらが自分の姿と重なって見えたと語ります。「捨てられるだけでは終われない。もう一度役に立てる方法はないか」と、アップサイクルへの想いが芽生えました。
病気を機に見直した「働き方」と「生き方」
建具屋の後輩の父親が亡くなり、廃棄予定だった木工機械を譲り受けたのを機に知り合いの大工に指導を受けながら木工を学びます。休日には捨てられたパレットの板で棚やテーブルを製作。2018年、勤めを辞め、自宅近くの倉庫で家具工房「SIL」を開業しました。
アップサイクル家具の魅力と可能性
パレット材の個性が活きる家具づくり
物流で使われるパレットは様々な木が混在し、傷や釘跡も残っています。その素材を一つひとつ丁寧に磨き上げ、命を吹き込むように家具へと生まれ変わらせるのが、SILのスタイルです。見た目も手触りも世界に一つだけの存在になります。
人も木も、違いがあるから美しい
「木目や色が揃っていないほうが良い。人間だって、性格も価値観もバラバラ。でも、それが合わさって一つの家具になるんです。」と語る隆弘さんの言葉には、素材への愛情と、人への想いが滲みます。SILの家具は、まさに❝再生と調和❞の象徴です。
工房のこだわりと家族の支え
家族・仲間との絆が育む家具づくり
妻の陽子さんは看護師として働きながら、工房の運営や販売面でもサポート。娘さんを含めた家族の温かな支えと、地域の仲間との交流が、SILをより豊かなものづくりの場にしています。家具の一つひとつには、人生の物語が宿っているのです。
店舗情報・アクセス情報
SIL(Smile Is Life)|アップサイクル家具工房
・住所:和歌山県有田郡有田川町水尻567
・営業時間:10:00~17:00(定休:水曜・日曜)
・公式HP:SIL PALLET WORKS
・公式Instagram:SIL PALLET WORKS
・公式オンラインショップ:SIL CAMP ONLINE STORE
・Facebook:SIL PALLET WORKS
・駐車場:あり(数台分)
・アクセス:JR藤並駅から車で約15分、有田ICから車で約10分
有田川町を歩く|SILとめぐる地域の物語
絶景の棚田「あらぎ島」と家具の原風景

SIL家具工房を訪れたあとは、車で20分ほど走って「あらぎ島」へ。扇形に広がる棚田は、有田川の流れと美しく調和し、日本の原風景を思わせる景観です。実は、この自然の曲線美と木目の揺らぎは、SILの家具にもどこか通じるものがあります。自然の造形美に学び、素材を活かすーー家具づくりの哲学を感じる場所です。
鷲ヶ峰コスモスパーク|花と木が語る季節の彩り

標高586mから見渡す景色は、有田川町が誇る天空の楽園。秋にはコスモスが一面に咲き誇り、家具に宿る色彩感覚がここで広がっていくかのようです。自然の色彩に囲まれながら、SILの家具と過ごす時間を思い浮かべると、日常が少し豊かに感じられるかもしれません。
有田川鉄道公園|レトロと手仕事の美学

有田鉄道の記憶を残す鉄道公園では、蒸気機関車や古い車両に触れながら、懐かしい時代に思いを馳せられます。金属の重厚さと木のやさしさーー異なる素材の魅力が共存する空間は、ものづくりの深さと多様性を教えてくれます。SILの家具が持つ個性と通じる空気を感じられます。
地元温泉で癒しのひととき

家具工房や観光地をめぐった後は、地元の天然温泉へ。「かなや明恵峡温泉」では渓谷を眺めながらの露天風呂が楽しめ、「しみず温泉」は❝美人の湯❞として知られています。木工の余韻を感じながら、身体も心もじんわりとほぐされる時間を過ごせます。
有田巨峰村|自然と味覚を楽しむ体験

季節にはぶどう狩りやバーベキューが楽しめる「有田巨峰村」。木と土、光と風ーー自然の素材に触れながらの体験は、SIL家具と過ごす日常の延長線にも感じられます。味覚・感覚・記憶がリンクする体験型観光の魅力が詰まっています。
・公式サイト:有田巨峰村ホームページ
まとめ|SIL家具と歩む地域の物語
捨てられそうだった木材に命を吹き込み、人との絆と地域の自然に寄り添う「SIL家具工房」。そこから始まる有田川町の旅は、素材の再生だけでなく、心と暮らしを見つめ直すきっかけになるはずです。自然・文化・人のぬくもりが交差する旅、あなたも体験してみませんか?


